時々パパ日記

共働きで妻と2歳半の長男と3人、日々の出来事や思ったことを書いています。

映画「そして父になる」の感想

少し前に、映画の「そして父になる」を借りて妻と見た。産院での子どもの取り違えをモチーフに家族の絆とくに父の在り方を描いた作品で、映画としての評判は結構高いらしい。

 

お金持ちで仕事熱心 vs 貧乏でも家族思い、の構図で話が進むのだけれど実際に父親をやっている身としてはそう簡単に語れないよなと思ってしまう。どんな事につけても今の時代はお金の影響力が強すぎる。だから、いくら暖かい心を持っていたとしても貧乏とそれが両立できるかというところにはすごく疑問があるし、虐待やネグレクトが発生するのも多くは金銭的に余裕のない家庭の場合が多いのは間違いない事実だと思う。それに、映画では扱っていなかったけれど、貧乏にはアルコールの問題がつきもので、どんなに家族思いの心を持っていても、お酒で全てを打ち壊してしまう人間がいかに多いかは改めて考えるまでもない話。

この映画は子どものことを可愛がることができるかという話と、仕事熱心か否かという話を混ぜて語ろうとしているところに違和感を感じてしまう。貧乏で家族をないがしろにしている人間は大勢いるし、優秀でバリバリ働きながら飲みに行くと子育ての自慢ばかりしているパパだってたくさんいる。

モチーフになっている血筋と育ちの問題にはあまり深入りしていなくて、血が繋がっていないことに起因する悩みはあまり描かれていないのは少し残念な点だと思う。三浦綾子さんの小説が好きな身としては、自分の娘を殺した犯人の子どもを、知らずに育てさせられていた葛藤を描いた「氷点」を思い浮かべるけれど、そういう意味での血筋に対する払拭できない拘りや苦しみはあまり出てこない。

 

最後に、主人公パパ(仕事熱心で父親として問題ありと描かれている方)の持っている大きなカメラが、子どもとの距離感を表しているように扱わ れていたので、カメラ好きな僕としては「そうか、大きなカメラは冷たいのか、だめなのか」と拗ねてしまいたい気持ちになったりしたのだけれど、ちゃんと月並みにまとめ て一件落着させている無難な映画だったと思う。長身できまっている福山雅治のキャラクター自体が、この主人公パパにぴったりだったのもとてもよかったと思 う。