時々パパ日記

共働きで妻と2歳半の長男と3人、日々の出来事や思ったことを書いています。

男子の父として、上村くんの事件から考えなければいけないこと(4)


無意識に、抑圧された憧れについて。

前回、思春期の子どもが不良グループに憧れる、ということに関連させて無意識に抑圧された憧れの話をしました。

「抑圧された憧れ」は様々な心的問題と向き合う際に注意して考慮しなけらばいけない事実ですが、数字で測ったり、実験で証明できたりするものではないので、心理学者によって解釈がバラバラです。有名どころでは、フロイトは幼少期に満たされなかった性的憧れをベースに話をするし、アドラーは権力への憧れを重視します。そこまで哲学的でなくても、良からぬ欲求が抑圧されてしまう原因を幼少期の愛情不足に求める理論は犯罪心理学や青年心理学の教科書の定番ではないかと思います。数字で測ることができないと書きましたが、ヘルマン・ロールシャッハによるインクの形状に対する感想と、着目する部位によって様々な考察を導き出すロールシャッハテストなど、無意識の数値化という点で高く評価されているものも存在します。

僕はユングがけっこう好きで、彼の著作も含めて心理学の勉強をするために社会人から出戻って大学に入ったような人間なので、ユングの話をします。

フロイトでは性欲、アドラーでは権力欲とはっきりしていますが、ユングの場合はそれに該当するものが複数あります。というより、大雑把にいうと人それぞれの弱点を抑圧するというのが近いです。では、なにが弱点だと考えるのか。

ユングの考えでは人は大きく内向型、外向型の2つに分けられます。つまり内向型の人間は外交的な態度が苦手と考えるので、外交的な態度が抑圧されると考えられます。

そして、この2つより弱い心的な構えとして、直感型・感情型・思考型・感覚型という4つの構えがあります。このうち、思考と感情、直感と感覚、が対になっていて思考型は感情を抑圧し、直感型は感覚を抑圧すると考えられます。

思考と感情は字の通りですが、直感型は周りからはその同期がさっぱりわからないような我が道を行くタイプ、感覚型は外的な刺激に大きく左右されるようなタイプです。

この上位の内向・外向の概念と、下位の概念をセットにして、内向的感情型は外交的思考型の心的な構えを抑圧する、といった具合に考えます。

なので、前回の続きとして、仮に不良グループに表されているタイプが、エネルギーを外に向けやすく、規範や合理性よりも外的な刺激に対する反射的な欲求に従って行動するタイプの、外交的感覚型だと仮定すると、この種類の人間に対して無意識的な憧れを抱くのは内向的直感型だということになります。

あくまで、ユングのタイプ論を形式的に考えた結果としてですが、上の仮定のもとでは、不良グループとの付き合いで注意が必要なのは、同じタイプとして憧れを持つ外交的感覚型と、反対のタイプとして憧れを抑圧する内向的直感型の2タイプということになります。もちろん、不良グループが別のタイプだと仮定すれば話は変わってきます。

(このあたりで、上村くんの事件とはだいぶ乖離しています。話を合わせるには、不良グループのタイプを再考するなどの必要がありそうですが、今回は事件に深入りすることはやめておきます。)

同じタイプは一目瞭然で、親も早期に予見できると思いますが、反対のタイプにかんしては、こんな文脈で考えていなければ考慮しないのではと思います。

ちょっと通勤時間に書いているブログとしては長くなりましたが、まとめると、正反対の性格にも注意が必要だ、ということです。