時々パパ日記

共働きで妻と2歳半の長男と3人、日々の出来事や思ったことを書いています。

男子の父として、上村くんの事件から考えなければいけないこと(5)

不良グループから抜けられない原因を、福祉心理学で考えてみます。

不良グループ絡みの話だと、思春期がメインテーマの青年心理学とか、ドンピシャの犯罪心理学から考えるのが普通ですが、ちょっと趣向を変えてみます。

福祉心理学のメインテーマは介護とか家庭問題ですが、この家庭問題の中に家庭内暴力のDVがあります。DVでよく問題にされるのは、そんなにひどいことをされて、なぜ離婚しなかったのか、という話。

確かに行き過ぎたDVのニュースをみると、なんでそんな奴と一緒になったのか?、なんで早期に別れなかったのか?、といった疑問が湧いてきます。そして、大概は早くから友人や家族が説得していたのに、別れることができなかった、といった話になっている。この辺りが、上村くんの状況を考える材料になるのではと思います。

多少知っている方であれば、ああ、「ハネムーン期」の話をしようとしている。ということがわかると思いますが、その通りです。これは、激しいDVの後の休止期間を指していて、暴力をふるった側が自分の暴力を反省しているような態度をとり、とても優しくなる期間です。この期間に暴力を受けた側は、もしかしたら今度こそ改心してくれるのかもしれないと思い、あるいは相手の欠点を急速に理解して美点を誇大に評価してしまう期間です。また、暴力を我慢できるということが自己評価に繋がってしまうのもこの期間かもしれません。

さて、不良グループに当てはめてみると、激しい暴力とか、パシリにされるとか、そういった不愉快な強制はDVにおける暴力に当たると思いますが、ハネムーン期らしいこともあったのだとすると、本人の意思で抜け出すのが難しくなってきます。極端に期間としなくても、ちょっとしたご褒美程度の行為にも、課題な喜びを感じてしまうことも考えられます。特に、例えば同じクラスの生徒など、同年輩の少年では得ることのできないような体験をしていた場合などは、自分のアイデンティティーがグループと切り離せなくなってしまい、受ける暴力と「特別な自分」の価値が天秤にかけられてしまう。こうなってくると、口では暴力が辛いと言いながら、なかなか「特別な自分」を捨てる決心がつかない、という危険な状況になってしまう。

こういった、状況はマインドコントロール下の人間にも起こることですが、こうなってしまうと、同じくマインドコントロール的な方法をとらないと脱出が難しくなってくる。つまりは、恋愛ドラマと同じで、悪い男から離れられない女性を救うには、救世主の男性が出てきてこっちに惚れさせるしかない、という話です。悪い男の悪さに気づくまで放っておくというのは、得策とは思えないです。

上村くんの話にもどると、上村くんの世界がちょっと狭いように感じるのが残念な点だったと思います。